2026/07/12 14:01
入谷の喫茶店「ジァン」さんをご紹介します。
ジァンさんは入谷駅から徒歩3分ほど、住所だと下谷二丁目の交差点の角地で営業されていました。
マスターが20代半ばでオープンし、その後約50年この場所を残してこられました。

マスターのご実家であるこの場所は、もともとはマスターのご両親が鮮魚店を営んでいたそうです。道を挟んで向かいは、当時からいまも続く精肉店があり、ジァンさんのあった根岸三丁目の交差点の対角線には、いまもなお湯を沸かし続ける銭湯があって、町の生活が感じられる場所でありました。


店外の窓に直筆でメニュー表が書かれていました。これを目にして思わず入ってしまった人も多いと思われます。
ジァンさんでは、時代によって提供するメニューも変えてきたそうなのですが、コーヒーなどのドリンクのほか、サンドイッチやケーキなどのデザート、時にはうどんや雑炊のような食事メニューもあったのだそうです。一時期はスナックのような内装に変え、お酒を多く出していた時期もあったとうかがいました。

お店の外の壁には、60歳を記念して、ヨット部の同期とともに考えたであろう英文のメッセージが書かれていました。そのなかには同期のメンバーの名前が記されていて、長年続く友情を強く感じます。

50代の頃に一度お店を閉め、保険関係の仕事に専念していた時期もあったそうですが、60代を前に、店内をリフォームし、席数を少し増やしたうえで喫茶店を再開することになりました。活動的で何事にも精力的であったマスターは、喫茶店をしながら独学で測量士の資格を取り、店内のちょっとしたリフォームや外壁の修復などもできるかぎりご自身でされていたそうです。

ジァンさんのテーブルと椅子のお引き取りのご依頼をいただいたのは、お店をお閉めになって数年経ってからでした。ご依頼くださったのはマスターのご家族で、ずっとお店を守ってこられたマスターが他界して、とのお話でした。
マスターがお亡くなりになったあと、ご家族の方が町内会にお知らせを出したところ、50人以上の方が弔問に来て下さったそうで、とてもありがたかったとおっしゃっていました。なかには、ご常連のお客さまがお子さんを連れてお線香をあげにきてくださり、その光景が心に残っているとお話しくださいました。
私どもがお店の歴史をお伝えする記事を書く際には、このような事情は伏せることが多いのですが、ご家族から許可をいただき、地域の方だけでなく、常連のお客さまからも愛された小林マスターとそのお店のことをここに記しておきたいと思った次第です。

最後に、お店の外壁に手で書かれた英文のメッセージのうち、終わりの二文を掲載します。
Now, Kobayashi runs a coffee shop named Jan(ジァン)(Gens) in this place. Perhaps he will run this shop to the end.
ーーいま、小林はジァンというコーヒー店をこの場所で営んでいる。おそらく彼は最後までこのお店を続けるのだろう。

ジァンさんからは白いテーブルと木目が美しい椅子をお引き取りさせていただきました。
椅子はおそらく途中で買い替えた2代目かと思われ、スレキズはあるものの比較的状態よいものが多いです。お得な2脚セットもご用意しました。
白いテーブルは正方形で、4人席はテーブルを2つつなげて席をつくっていたようです。天板の縁が真っ直ぐなのでぴったり合わせられて使い勝手も良いです。
カウンター上に飾られていたGensの文字の看板です。
どこかの店舗でお使いいただきたい営業中/準備中の看板も販売します。
またどこかで大切に使っていただければうれしく思います。
なにかありましたら、[email protected]までご連絡くださいませ。
