2025/05/18 20:04

神奈川県川崎市の鶴見にありました喫茶店「タンゴ」さんを紹介いたします。


タンゴさんは、JR鶴見駅西口から徒歩8分、鶴見区佃野町にある「レアールつくの」というアーケード商店街の中にありました。

タンゴさんは、ママさんのご両親が49年前に始められた喫茶店でした。
ご両親は、喫茶店の前にはいろいろな業態のお店を経験されたようです。

この場所は、鮮魚店からはじまり、その後化粧品店に鞍替えし、化粧品のほかに日用雑貨や荒物を置くようになってからは小さなホームセンターのような雑貨店として、地域に根差してご商売をされてきました。

49年前に喫茶店に改装してから、タンゴさんの内装はずっと変わらないそうです。
店内の壁の一角は森林の壁紙が貼ってあり、当時はとても独創的でモダンな店内として評判になったそうです。

マスターとママさんは学生時代からのお付き合いだそうですが、マスターは大学卒業後はしばらくは会社員として働かれていたそうで、代替わりしてお二人で一緒にお店に立つようになったのは30年前からだそうです。

タンゴさんは、月に2回、歌声喫茶が開催されており、歌好きが集まる場所でもありました。歌声喫茶を始めたのは13年前とのことですが、お二人とも歌がお上手という共通点があり、ご結婚前も歌声喫茶でデートをするなんてこともあったと聞きました。
喫茶タンゴさんの歴史にはお二人自身の思い出もたくさんたくさんつまっているのだと改めて感じます。

タンゴさんは街の喫茶店でありながら、とても豊富な食事メニューが揃っているのが大きな魅力でした。

お客さんのリクエストで次々とメニューが増えていったと伺ましたが、一番の人気はナポリタンだったそうです。

タンゴさんのナポリタンは、横浜を中心に活動する団体「日本ナポリタン学会」に認定された逸品で、マスターは「ナポリタンがなかったら店を続けられなかったと思う」とおっしゃるほど、お客さんの7割が注文するメニューだったそうです。

ナポリタン発祥のお店といえば、横浜の「ホテルニューグランド」さんですが、タンゴさんのナポリタンはそのレシピがもとになっているそうで、火加減と、納得できる炒め具合を体得するのには苦労したと、当時のウラ話までお聞かせくださいました。

日本ナポリタン学会のHPには、学会認定店であるタンゴさんの閉店を惜しむ記事が掲載されていました。
こちらをご覧ください。

この記事の中には、タンゴさんの閉店後にママさんのナポリタン教室が開催された記事もリンクとして載っています。レシピも公開されていて大変興味深く拝読しました。

お引き取りさせていただいた食器の中には、むかし使っていたというパフェやプリン・ア・ラ・モードのグラスなどがありました。
ママさんのお母さまが作り提供されていたプリンが絶品だったそうなのですが、同じように再現するのがむずかしく、途中でやめてしまったそうです。

味に対するこだわりがとても伝わるエピソードで、ご両親のお店を継ぐ10代のころから有名シェフのところに行って教えを乞うたというママさんのお人柄をうかがい知ることができます。

タンゴさんは1月末に長い歴史の幕を閉じられました。歌声喫茶をしていたこともあり、お客さまの中には音楽関係者が多く、閉店後もタンゴさんに感謝をという意味からコンサートなどもお店で何度か開催されたようです。
これだけ聞いてもタンゴさんがどれほど愛されたお店だったかよくわかります。

看板の「タンゴ」のゴの濁点の部分が音符になっているのが目を惹きますね。
開店当初よりこの看板だとのことで、特に歌声喫茶だからというわけではないそうなのですが、いかにもタンゴさんらしい看板です。

「タンゴ」と文字が入った窓枠もオリジナルで素敵です。

タンゴさんは、朝は9時前からモーニングとして営業し、ランチにはたくさんの地域の方のお腹を満たし、商店街の買い物客がほっと一息つける、そんな場所を半世紀近く提供されてきました。

残念ながらタンゴさんの建物は今後取り壊されるそうです。
長い間地域に貢献されてきたお二人には、これからもお元気でお過ごしくださいとお伝えしたいです。

こちらに掲載している写真の多くは、同じく鶴見にある喫茶店「山百合」の店主・慶野さんからお借りしたものです。
慶野さんも、タンゴさんのお客さまであり、また日本ナポリタン学会認定のナポリタンを提供する同士としても、タンゴさんとお付き合いがあったとうかがいました。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

以下はネットショップで販売する椅子です。

幅が39.5cm、高さが77cmなので、比較的小ぶりに見えます。座面は鋲がついたビニールレザーが貼られくつろぐことができる椅子です。
点数も多めなので、揃いでお探しの方はお早めにご相談ください。

食器の大半は今後店頭とネットショップで販売していく予定です。
カップ&ソーサーのほか、デザートグラスやパフェグラス、プリン・ア・ラ・モードのグラスなどもあります。
食器など小物につきましては、準備ができましたらSNSでお知らせいたします。

ご不明点やご要望などございましたら、tokyo.muratashokai@gmail.comまでご連絡ください。
みなさまのご注文を心よりお待ちしております。