2025/04/03 21:55
千駄木の喫茶店「乱歩゜」さんは、地下鉄千駄木駅近くの団子坂下の交差点から谷中霊園方面に3分ほど歩いたところにある喫茶店でした。

※以下すべてのお写真は、「乱歩゜」さんのお客さまより拝借したものです。この場を借りてお礼申し上げます。
店名は、ご存じ探偵小説家の江戸川乱歩から採られており、店名には「゜」がついていますが「らんぽ」と読みます。
数年前にお店は閉じられたとうかがいましたが、マスターご夫婦は江戸川乱歩のファンだったようで、店内には江戸川乱歩の映画や演劇のポスターも貼られていました。
江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』のD坂というのは団子坂、というのは乱歩ファンには有名な話だと思いますが、お店の脇には、「D坂から308歩」と書かれた大きな看板があり、江戸川乱歩の作品を強く意識したものと思われます。
舌を垂らした唇の造形も非常にインパクトがありました。

20年以上前、私がまだ学生だった頃に「乱歩゜」さんを訪れたときにいただいたマッチにも「団子坂から308歩」と書かれていたのを懐かしく思い出します。
看板には「散歩のあとには乱歩゜の珈琲」とも書かれ、かつて江戸川乱歩が実際に弟と古書店を営んでいたという団子坂を巡礼するファンの方々が喫茶店に立ち寄る、ということもあったのではと思います。
ママさんに、この場所で「乱歩゜」を始めた経緯まではお話をうかがうことはできませんでしたが、団子坂からほど近いこの場所で「乱歩゜」というお店を開いたことは、江戸川乱歩にゆかりのあるこの街にとっても、江戸川乱歩を愛する人たちにも大きな意味があったことに違いありません。
とはいえ、江戸川乱歩の愛読者が集うお店、という側面だけではないお店でした。
「乱歩゜」さんは「良介くん」というかわいらしい猫がいて、お客さんを和ませていたと聞きました。当時は猫好きの人たちも集う場所としても有名でした。良介くんは雑誌などにも登場しているのを見た記憶があります。

また店内にはいつもジャズが流れていて、ジャズプレーヤーのポスターなども飾ってあったので、音楽好き、特にジャズ好きのお客さんも集っていたようです。
店内には統一された木製のテーブルに、丸太の椅子が配置されていました。丸太の椅子は、ビニールレザーのクッションがついていて座り心地もよく、何よりもお店の雰囲気にとても合っていました。というより、丸太の椅子が、店内の独特ながらも落ち着く雰囲気を作り出していたといったほうがよいかもしれません。

店内には、マスターが骨董屋などで買い集めたり、お客さんからお土産でいただいたものもあるという世界各国の仮面や民芸品、楽器なども壁や柱など至るところに飾られていました。
金属や木や紙、焼きものなどさまざまな素材でつくられた仮面は、シンプルなものからカラフルで装飾的なものまで数多くあり、見ているだけでも楽しいものばかりです。
日本のみならず、外国のあらゆる形の民芸品や、なかにはアフリカのめずらしい楽器などもあり、博物館のような面白さは「乱歩的」といってよいでしょう。


店内壁には、日本で活躍するイラストレーターや画家の方々の作品も飾られており、そのなかには喫茶店「乱歩゜」を題材に制作したものもありました。
江戸川乱歩の作品はいまでも読まれ続け、また作品が映画化されたりコミカライズされたりと、時代を超えて多くのアーティストに影響を与え続けています。その流れのひとつとして喫茶店「乱歩゜」も生まれたと言っても良いかもしれません。
「乱歩゜」自体も、さまざまなアーティストの創作活動の源になっていたという意味で、「乱歩゜」は文化的な場所として多くのものを残してこられたのだと思います。
約40年という長い間、たくさんの人を魅了し続けてこられたご夫婦に敬意を表し、おつかれさまでしたと伝えたいです。

使われていたテーブルと椅子はネットショップにて販売いたします。
具体的な販売開始日時は追ってお知らせしますが、4月10日ごろを予定しています。
店内に飾られていた世界各国の仮面やオブジェ、民芸品や楽器などは、一同に並べて販売する機会を設けたいと思います。

2025年4月12日(土)、13日(日)
両日12:00〜19:00
当店店外スペースにて(小雨決行)
販売するオブジェなどはサイズが大きなものもあります。梱包は可能な限り対応いたしますが、マイバッグ持参のご協力をお願いいたします。
販売会に先んじて、テーブルと椅子はネットショップにて販売開始となる予定ですが、在庫状況によっては、装飾品の販売会当日にテーブル、椅子の一部を店頭にて展示販売するかもしれません。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
何かご不明点がありましたら、tokyo.muratashokai@gmail.comまでご連絡ください。