2025/01/24 18:53

ドイツのコーヒーミルメーカー、ザッセンハウス&ペーター・ディーネスのヴィンテージ手廻しコーヒーミルを販売いたします。
※ネット販売限定となります。店頭での展示・販売はありません。ご注意ください。

4年ほど前にヴィンテージコーヒーミルをコレクターの方からお譲りいただき、当店ネットショップにて販売会を開催したのですが、一昨年別のコーヒーミルコレクターのご家族の方からお引き取りのご依頼を頂戴しました。

なにかモノを集めるという行為には、なぜそのモノ(カテゴリー)がコレクションの対象なのか、どのような理由で、どのような着眼点をもっておこなうかなど、コレクターの方の動機、お考えや視点がその収集物に色濃く出るものだと思います。

前回は日本を含め世界各国の珍しいコーヒーミルを集められた方のコレクションを販売させていただいたのですが、
前回のオンライン販売会についての記事はこちら販売はすべて終了しております)
今回は、方向性のことなるコレクションで、これもまた大変興味深いものでした。

今回販売するのは、全部で31点のコーヒーミルで、いずれもドイツのふたつのメーカーのものでした。
ひとつはザッセンハウス(Zassenhaus)、もうひとつはペーター・ディーネス(Peter Dienes)です。
コレクションをすべてお引き取りさせていただいたので、31点のコーヒーミルが上のふたつのメーカーのもので占められていました。
コレクターの方は、よほどこのふたつのメーカーのコーヒーミルに魅せられていたのでしょう。

全31点のコレクションの内訳は以下のとおりです。

・ザッセンハウス:20点
・ペーター・ディーネス:10点+1点
(「+1点」と書いた理由は後述します)
日本でもファンが多いので、手廻しのコーヒーミルをお好きな方はザッセンハウスの名前はご存じかもしれません。


ここで、簡単ではありますがそれぞれのメーカーについて説明します。

ザッセンハウス(Zassenhaus)は、1867年にドイツの刃物製造で有名なゾーリンゲンの近くの街で創業しました。第二次世界大戦後は、戦中の金属加工技術を転用・応用してコーヒーミルを製造する工場が増え、当時は、ペーター・ディーネスを含め10社ほどのメーカーが存在していたようです。そんな中で各社が技術を競った1950年頃~60年代のザッセンハウスの製品はオールドザッセンハウスと呼ばれ、日本だけでなく世界中にファンがいると言われます。
ザッセンハウスは2006年に倒産するのですが、ドイツのキッチンツールメーカーKUCHENPROF社が買収し、今もなおザッセンハウスのコーヒーミルは製造を続けられています。

ペーター・ディーネス(Peter Dienes/略称:PeDe)は1869年にドイツのレムシャイト(Remscheid)という刃物や鉄鋼製造が盛んな街のひとつで誕生します。とても精緻なコーヒーミルを作り、国内外に販路を持っていました。
当時、刃の製造技術としてはザッセンハウスより優れていると言われることもしばしばあったそうで、とくに優れた2社の競争が進むなか、お互いを意識するかのようなデザインのコーヒーミルが双方から生まれることになります。
結果として、ペーター・ディーネスは1962年にザッセンハウスに買収されることとなりますが、今回販売するペーター・ディーネスのミルは合併吸収される前の製品です。

日本においてはザッセンハウスのほうが名が知られているかと思いますが、ヨーロッパにおいてはペーター・ディーネスのほうがより価値があるという人もいるのだそうです。

さて、コレクションの内訳数について、ペーター・ディーネスのミルは「10点+1点」と書いたのですが、その「+1点」とはDeVeのものです。

DeVeは、ぺーター・ディーネス(PeDe)から分社したコーヒーミルメーカーです。
ペーター・ディーネスは1919年よりオランダでも製造を開始しますが、オランダ支社としてできたのがDeVeなのです。

コレクションの内訳は、ザッセンハウスのものが一番おおく、その半分の数がペーター・ディーネス、1点のみDeVeのものでした。
これらを集めていたミルコレクターの方は、あくまで私の推測ではあるのですが、まずはじめにザッセンハウスのコーヒーミルに惚れ込み、調べたり集めたりしているうちに、のちにザッセンハウスが吸収するペーター・ディーネスの存在を知り、関心を深めていったのではと推測します。

そしてそのなかで、ペーター・ディーネスから分社したオランダのDeVeまでたどり着いたのではないでしょうか。コレクションの内訳の数からして、これほどまでのコレクションを築くには、きっとそうした経緯があったのかと想像いたします。

今回ミルのお引取りについては、コレクターのご家族の方からご依頼いただいたものでした。
お引き取りしたコーヒーミルは、すべて最近に実際に使用していた形跡があり、コレクターの方は大変にコーヒーがお好きだったのだと思います。実はコレクターの方は他界されており、長いこと離れて生活されていたので、ご家族であってもコーヒーミルをお集めになっていたこと、コーヒーをお好きだったことでさえもご存じなかったようです。

コレクションされたコーヒーミルはすべて古いものですので、おそらく古道具店やオークションサイト、時には海外のオンラインショップなどを通して集められたのではと思いますが、コレクターの方が感じていたであろう、ザッセンハウス、ペーター・ディーネスの製品の良さや、両メーカーの数ある製品の中でどうしてこのモデルを、どのような観点で集めたのかなど、お話を聞いてみたいことがたくさんありました。
特にザッセンハウスのコーヒーミルについてはよくお調べになり、おそらく海外のヴィンテージコーヒーミルコレクターのブログ記事なども参照するなどもして知識を深めておられたのだと思います。

ザッセンハウスもペーター・ディーネスも製造年代によって、内部構造の違いや仕様、蓋の形状(つくり)などが異なるのですが、すべてのコレクションのうち、型番が同じものはひとつとしてないこと、また製造年代によるつくりの違いの変遷などをある程度理解されているように思えることを考えると、コレクターの方は相当にお調べになってこれらのコレクションを作り上げていったように感じます。

コレクションについて直接あれこれお話をうかがえればよかったのですが、それは叶いません。
それでも、これらのコレクションの内容や性質から考えると、このコレクターの方は、自分の興味関心を深く掘り下げることに熱心で、とても勤勉な方だったのではないかと想像いたします。
このコレクションを眺め、メンテナンスを進めていると、持ち主の方のお人柄に触れられたような気がしました。

以上でお話してきたとおり、とてもこだわりをもってコレクションされたコーヒーミルを、日常の道具として、また空間を彩るもののひとつとして、お迎えいただければうれしいです。

ミルは、当店がほぼすべて分解洗浄とグリースアップを行い、日常的にお使いいただけるように調整しました。(1点だけねじが固着して分解できなかったものがありました)
粉の粗さも、手動で調整できます。
刃物製造で有名な街をルーツに持つメーカーのコーヒーミルだけあって、刃の形も特徴的で、すりつぶすというより切り刻むように豆を粉にしていくので、より香りがたつコーヒーが淹れられるそうです。


◆ザッセンハウス&ペーター・ディーネスのヴィンテージコーヒーミルコレクション販売◆

プレビュー期間:1月24日(金) 19:00~2月1日(土) 18:59
販売開始:2月1日(土) 19:00より


プレビュー期間は、全31点のコーヒーミルの商品ページをご覧いただけます。この期間はご注文いただくことはできません。8日間のプレビュー期間を設けておりますので、ゆっくりとご覧いただき、ぜひ気に入るものを見つけていただければと思います。

(補足事項)

・販売はすべてネットショップでおこないます。販売開始よりしばらくのあいだはネットショップのみでの販売となりますが、その後の在庫状況によっては、店舗でも販売することもあるかもしれません。

・販売する31点のコーヒーミルはすべて中古品です。当店ですべて分解洗浄をしておりますが、取り切れないよごれがあります。また、試し挽きした際の粉が付着しているものもあります。
(【コレクション22-2】は構造上すべてを分解できなかったので、一部、分解洗浄しております。)

・豆を挽く道具として実用できるものがほとんどですが、いずれも中古品としてご理解いただきますようお願いいたします。商品ページにはできる限り画像を掲載しておりますので、外観と内側のダメージをよくご確認ください。

・商品の状態についてご質問がある場合は事前にお受けいたします。極力お答えできるように努めますが、内容によってはお答えできないこともあります。


以下は少し長くなりますので、ご興味ある方のみ読んでいただければと思います。

今回販売するコーヒーミルは、両メーカーが互いを意識し技術や性能を競っていたというだけなく、デザインも少し似ている部分がある、ということもありますので、商品ページでずらっと一覧で見たときに、必ずしもどれも特徴的で見映えがするというわけではないかもしれません。
以下にて何点かご紹介しますが、31点あるコーヒーミルの中からお気に入りを見つけていただくための手がかりになればよいです。

縦に細長い形状をしたミルは「ニー(Knee)ミル」と呼ばれ、膝に挟んで挽きやすい仕様になっているのですが、ニーミルの中でも、下の画像のようにサイズ感やデザインが似ているものがあります。
左から
【コレクション15】(ザッセンハウス)、【コレクション16】(ザッセンハウス)、【コレクション25-5】(ペーター・ディーネス)

下の2点もニーミルですが、上の3点よりもさらに幅がちいさくコンパクトなサイズ感が特徴的です。
左:【コレクション14】(ザッセンハウス)
右:【コレクション22-2】(ペーター・ディーネス)

ニーミルには縦長タイプのだけでなく、横型のものもあります。膝に挟んでフィットするように両側が湾曲しています。
左:【コレクション20】(ザッセンハウス)
右:【コレクション30-10】(ペーター・ディーネス)
横型ミルは上記のほか、【コレクション29-9】(ペーター・ディーネス)もあります。

ニーミル以外にもなじみのあるタイプのコーヒーミルもありますので、どういったタイプをお使いになりたいか、外観やサイズが似ているもののあるので、デザインや見た目のお好みで選ぶのもよし、1950~60年頃のものかそれ以降という製造年代で選ぶのもよし、と思います。もちろん状態・コンディションはモノにより異なりますのでそれも含めてご検討ください。

皆さまのご注文を心よりお待ち申し上げます。