2024/06/28 21:30
大田区 田園調布本町にありました喫茶店「BIT」(ビット)さんをご紹介いたします。
BITさんは、東急多摩川線の沼部駅のすぐ近くにあった喫茶店です。

お店の歴史は古く、ママさんのお義父さまが創業されました。国鉄勤めをされていたお義父さまは店には立たず、当初はお義祖母さまとお義母さまがお店を切り盛りされていたとお聞きしました。
お義父さまは仕事上あちこち行くことが多かったため、いろいろな喫茶店などを目にするうちに自分の理想のお店を頭に浮かべていったそうです。
BITさんはいまでこそ一階が店舗ですが、創業時はお店は二階にあり、一階は中華料理店とスナックに分割して貸していたそうです。
1970年代になり、ママさんが嫁いできてお店を手伝うようになるとお店を一階に移して、以降約半世紀のあいだ、ご夫婦で営業を続けてこられました。

上の写真のとおり、これほどまでに窓が大きく、外を行き交う人の姿を楽しめる喫茶店はそう多くないと思いますが、このように大きな窓サッシを組み合わせたような造りになっているのは、上記のように以前は一階が半分ずつに分かれていたものをひとつの空間に改修したためだそうです。
上の写真は、BITさんを正面から見たときのちょうど半分のスペースにあたるのだそうで、そんなお店の歴史を聞くことができるのはうれしいことです。
すぐ近くには有名な桜坂があり、桜が開花する時期は多くのお客さまで賑わうそうです。また多摩川河川敷で花火大会が開催される日も多くのお客さまで賑わったとお聞きしました。
余談ですが、むかし、義理の曽祖父母さまは同じ場所で今川焼の販売店をしていたそうで、とくに花火大会の際は今川焼が飛ぶように売れたそうです。むかしからなにかご商売をされてきたという場所であるのですね。

店内は広いにもかかわらず、ゆったりとした席の配置でした。近年はご近所の常連さんが多かったそうですが、お客さん同士が会話したりすることもあるけれど決して盛り上がりすぎず、程よい距離感を保っていたそうです。
たくさんのお客さまが同じ空間を共有しつつ、それぞれが思い思いの時間を過ごす様子が目に浮かびます。
規則正しく壁につけられた照明がとても美しく、心休まる空間であったことかと思います。
朝はサラダがたっぷり乗ったモーニングがあり、サンドイッチやトーストのほかカレーやスパゲティーの種類もたくさん提供されていたそうです。スパゲティーの中ではナポリタン、カレーの中ではドライカレーがとくに人気だったとママさんからうかがいました。
下の写真はBITさんに通っていらした方からいただいたものをひとつにまとめてみました。
どのお料理、デザートもおいしそうです。

BITさんは2023年12月末で閉店されましたが、BITさんのご常連の方が当店をご紹介いただきお引き取りのご縁をいただくことができました。
BITさんには頻繁に通っていたそうで、BITさんで過ごしたたくさんの大切な思い出を私どもに共有してくださいました。また、ここに掲載している写真の多くはその方からお借りしたものです。改めて御礼を申し上げます。

半世紀以上という長い間、素敵なお店を作り上げてこられたママさん、マスターにお疲れさまでしたとお伝えしたいです。
周りのご家族と一緒にこれからもお元気で過ごしていかれることを願っています。

BITさんよりお引き取りしたソファーは2種類あります。
一人掛け、なかなか見ない二人掛けです。
どちらも、ワインレッドに近い色味のモケットの生地が張られています。
客席天井から下がっていた銅のランプシェードも1点のみ販売いたします。
ややシャープな印象でさまざまな空間に役立ってくれそうです。
何かご不明点がございましたら、tokyo.muratashokai@gmail.comまでご連絡くださいませ。
大切にしてくださる方のもとにお届けできることを祈っております。
たくさんのご注文をお待ちしています。