2024/03/14 11:51

喫茶店「ルーブル」さんをご紹介いたします。

ルーブルさんは東中野駅東口からすぐの場所にあり、4階建てのビルの1階が店舗になっていました。


入口から入るとすぐにショーケースがあり、自家製のケーキなどの洋菓子とパンを販売されていました。奥が喫茶室となっており、食事やデザートをいただくことができました。


ルーブルさんが2023年12月をもって閉店するというニュースは地元の方のみならず、喫茶店好きの間でも大変話題になりました。
また、私どもも当店のお客さまからその話を聞き、とてもショックで残念に思ったことを思い出します。

閉店のお知らせを告げる貼り紙です。


ママさん、マスター、ママさんの妹さんの3人で営業されていたルーブルさんですが、昭和25年(1950年)にママさんのお父さまが創業したエビスベーカリーというパン屋から歴史が始まります。
姉妹で小さな頃からパンづくりの手伝いをしていたと聞きましたし、そうした流れを汲んでいるので、喫茶ルーブルになったあとも自家製のパンと洋菓子を提供していました。

上の写真のとおり、窓には「自家製洋菓子 パン 喫茶 ルーブル」と書かれています。

エビスベーカリーの創業者であるママさんのお父さまはあちこちでパン職人として修行を重ね、現在のルーブルの場所にエビスベーカリーをオープンしたあとも評判を呼び、都内に複数店舗を構えていたそうです。
途中からパンだけでなく洋菓子も提供するようになり、お父さまはとても勉強熱心だったとママさんから伺いました。

下の写真は店内で販売されていた自家製パンです。2018年頃に撮影したものですが、ミニクロワッサンは30円、くるみパンは55円、ミックスサンドは195円という、驚くほどのお値段で販売されていました。


近隣にお勤めの方がよくお昼にサンドイッチを買いにいらしたと聞きました。当店のお客さまでルーブルさんに通っていらした方のお話では、めかぶが入っためかぶサンドが癖になるおいしさだったそうです。ぜひ食べてみたかったです。

喫茶ルーブルとして営業することになったのは、昭和41年(1966年)、ビルを立て替え喫茶室を併設したときだそうです。その後改装を経て現在のお店の内装になったようです。


ルーブルさんといえば、貝殻のテーブルが印象に残っている方が多いと思います。
貝殻を薄く敷きつめた天板はとても美しく、唯一無二の空間に身を置けることが何よりもうれしかったことを今となってはすこし懐かしく感じてしまいます。

喫茶室のデザートメニューは、どれも個性的で盛り付けがとても美しかったです。
ママさんが考案したという名物パフェ セレナーデをはじめ、パイアラモード、かき氷と2種のアイスクリームをいただけるスノーワールドなど、ここでしか口にすることができないメニューばかりでいつも注文を迷ってしまうほどでした。

脚のついたグラスで提供されるフルーツポンチです。フルーツはひとつひとつ丁寧に盛り付けられていました。


提供される食事メニューの中では、ミートソーススパゲティはとくに人気でテレビでも多く取り上げられていました。合挽肉を使用し長い時間をかけて仕込まれるソースは深みがあり好きだった方も多いのではないでしょうか。
最近エスビー食品からルーブルさんのミートソースを再現したスパゲッティソースが発売されたことを、マスターはとても喜んでおられました。このような形でルーブルさんの味が残ってくれるのはとてもうれしいです。

下の写真はいただいたナポリタンです。歯ごたえのあるスパゲティがとてもおいしかったです。


お引き取りの際に気が付いたのですが、ケーキのショーケース後ろの壁近くにダムウェーター(食品を運ぶ専用のエレベーター)が設置されていました。
マスターに伺うと、以前はビルの4階が工場になっていて、そこで菓子やパンの製造をして1階に運んでいたそうです。
昔は珈琲豆の挽き売りもしていたそうで、喫茶店になってからの約60年の間に語りつくせないほどの歴史があるのだと思います。もっともっといろいろなお話を聞きたかったです。

ルーブルさんの店内はとても統一感がありました。
レジカウンターや、パンのトング置きの台などは同じ装飾デザインで揃えられていたり、店舗外側に設置されたメニューサンプルのショーケース、喫茶室カウンター内の食器棚は、テーブルと同じ貝殻がほどこされていたりしました。
すべてオーダーメイドで作られ、お店の一部としてどれも大切にされてきたのだと感じます。

大きなもので非常に重量があるので、お引き取りが叶わなかったものが多いのですが、メニューサンプルのショーケースは写真だけでも掲載したいと思います。


ご両親の意思を継がれ、喫茶店・洋菓子店で修業後、ルーブルを作ってきたママさん、ママさんと協力しお店を支えいつも美しいデザートをつくってくださった妹さん、どんなに忙しいときも丁寧に優しく対応してくださったマスターに、お疲れさまでしたとお伝えしたいです。長い間、本当にお疲れさまでした。大好きなお店でした。ありがとうございました。


ルーブルさんからはテーブル、椅子、そのほか什器、食器、装飾品などをお引き取りさせていただきました。
当店からも近いお店だったということもあり、できるかぎりルーブルさんを好きだったお客さん、ご近所の方にお届けしたく、家具はネット販売は行わず、当店の店頭のみでの販売とさせていただきたいと思っております。

テーブルの天板はうすく加工した貝殻を敷きつめた上に樹脂製のカバーシートがついています。
フレームは白い樹脂製、脚は金属製です。
天板のふちが剥がれかけているものもあり、1点1点状態が異なります。
サイズ:50×90×高さ61cm


椅子の座面はビニールレザー、フレームは金属製です。
ビニールレザーは張替えているようですが、フレームは喫茶創業時からのものだそうです。
フレームには錆びが出ている箇所が多くあり、座面も若干破れが生じていますが、使用していてただちに破れが広がる感じではありません。
サイズ:幅47×奥行57×高さ70cm、座面の高さ36cm

テーブル、椅子は、3月14日(木)12時より当店店頭に並びます。
また、店内で飾られていた絵画作品も2点販売を開始します。
(今日現在、そのほかの食器や什器などはまだ販売準備が整っておりません。準備ができ次第、順次販売を開始いたします。)

テーブル、椅子、絵画作品は店頭のみでの販売となります。
メール、DMでのご注文やご予約、お取り置きはいたしかねますので、ご了承ください。
販売状況なども随時変動いたしますので、お問い合わせをいただいても返答できないこともあるかと思います。

以下補足です。ご確認くださいませ。
・できるかぎりたくさんの方のもとにお届けできればという思いから、テーブルはお一人様1点までとさせていただきます。
・返品は基本的には不可となります。状態をよくご覧いただきご購入くださいませ。
・購入いただいた方はその場でお持ち帰りいただくことも可能です。
・有料にて発送、当店でのお届けも承ります。

通常とは異なる販売方法とさせていただき、ご不便をおかけいたしますが、
多くの方にルーブルさんのお品物が渡るよう願っております。

食器についてはまだ販売準備中なのですが、ドリンク用のグラスやパフェグラス、デザートグラス、スパゲティのプレート、カップ&ソーサーなどそのほかたくさんの食器や小物を今後販売予定でおります。またルーブルさんの創業当時のメニュー表やロゴ入り菓子袋、そのほか紙ものなども販売準備しております。
什器などもいくつかお引き取りいたしましたので、販売の準備が整いましたらSNS等でお知らせいたします。

建物は近々解体されてしまうようなのですが、ルーブルさんをお好きだったたくさんの方のもとに、思い出の品々がひとつでも多く届くことを願っております。

最後に、お引き取りの際に1枚だけ見つかったエビスベーカリーのパン袋の写真を掲載します。

「ルーブル姉妹店」とあるのですが、おそらく喫茶室ルーブルが併設されてまもない頃にエビスベーカリーとしてパンも販売されていたということなのかなと思っていますが、詳しくご存じの方がいらっしゃったらうかがいたいです。

何かありましたら、tokyo.muratashokai@gmail.comまでご連絡ください。