2023/04/28 21:39

野方と高円寺のちょうど真ん中くらいに位置するところに「あほうどり」というお店がありました。

壁に掲げられたメニューの一番上にはコーヒーがあるので、喫茶店かと思えば、きしめんやお雑煮、ナポリタンなど食事メニューもあるので、お食事処の要素もあり、お酒やおつまみも充実しているので、居酒屋ともいえる、不思議なお店でした。

中央線の高円寺と新宿線の野方駅のちょうど中間くらいの場所にあり、まわりにあまり飲食店もない立地で、かつ19時オープンということもあり、お酒を飲みに立ち寄る地元のお客さんが多かった気がします。



お店は1976年にオープンし、47年もの長いあいだ営業されました。
4人掛けのテーブル席が2つと、6人程度のカウンター席というそれほど広い空間ではありませんでしたが、マスターおひとりで切り盛りされるにはちょうどよい大きさだったかもしれません。

こちらは鶏肉のカレー煮込みです。
本格的でとてもおいしく、何度か頼んでいただいたメニューです。


自家製のお雑煮。注文してから作ってくださいます。


私どもはいつもテーブル席でしたが、常連さんはいつも迷わずカウンターに座りマスターや他の常連さんと会話を楽しんでいたように思います。
初めて伺ったときは、当店と同じ椅子が使われていたことに驚き、なんだかうれしく思ったことを思い出します。




店内は船内のイメージで統一されていて、カウンター横に舵が飾られていたり、テーブルも舵の上にガラスの天板を載せたものでした。
壁には海中で撮影した写真がいくつか飾られていて、マスターのご趣味なのかと思っていたのですが、お引き取りの際に詳しくお話を伺うことができました。

マスターはもともとダイビングのインストラクターをされていて、今でも伊豆や伊豆七島のほうにダイビングに行くこともあり、ご自身で撮影した写真のアルバムを見せてくれました。
マスターは学生運動が盛んなに時期に大学生でしたが、運動によって授業が行われないことが多く、大学の友人にダイビングに誘われたことがきっかけでダイビングの世界にのめりこんでいったそうです。

大学の卒業後は8年ほどダイビングのインストラクターとして働いていたマスターは喫茶店などでの修行経験はなかったようですが、ご自身がおいしいと思うものだけを提供するという強い信念をお持ちの方だったように感じます。

また、マスターはDIYが得意で、メニュー看板や店内外の壁の装飾、お手洗いの装飾的な鏡なども自ら作ったと聞きました。



少し見づらいですが、「あほうどり」と彫刻されています。最初に伺ったときには気づきませんでした。


他にもトイレのドアや、客席を仕切るパーテーションまで自作されたと聞き、大変驚きました。


こちらの上記2点(トイレのドア、パーテーション)は販売いたしますので、またどこかのお店で使っていただけたらうれしく思います。

あほうどりさんはお店の前の道路の拡幅により閉店されました。すでにまわりの建物も多くはセットバックされ、周辺の雰囲気も大きく変わってしまいましたが、マスターは店を閉めるタイミングとしてはこれがよかったかなとおっしゃっていたことが印象的でした。


マスターは今も1年に一回は海に潜っていらっしゃるそうで、これからもお元気にいてほしいなと思います。

以下、販売する商品になります。






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