2022/04/13 20:49

ここ数か月の間、お店前のシャッターには「休業します」というお知らせが貼られたままでしたので、このような形でお知りになる方も多いだろうととても心苦しいのですが、ときわ台の喫茶店 珈夢居さんは46年の歴史に幕を閉じられました。




家具などのお引き取りの最中も、通りがかりのご近所の方がマスターとママさんにお声がけされていて、多くの地域の方に愛されていたのだなと感じました。

マスターはとても気さくな方で、珈夢居さんの歴史をたくさんお話しくださいました。
珈夢居さんの創業は昭和51年、マスターが29歳の時でした。2年前まで会社員だったそうですが、会社員時代も喫茶店がお好きで、仕事の合間にあちこちの喫茶店を回られていたそうです。
会社を退職後の2年間、池袋の東亜珈琲館で修行をすることになりました。修行をするにあたって、一番混んでいるお店でと探し見つけたのがトーアコーヒー直営のこのお店だったそうです。

このような経緯があり、トーアコーヒーの豆を使用していた珈夢居さんの内装は、まさに「トーアコーヒー式」で、トーアコーヒーから豆を仕入れているほかの喫茶店と同じように、木を存分に使用した重厚で温かみのある空間でした。



珈夢居さんは奥行きのある造りになっており、入口のドアを開けると右側に6席のカウンターと左側にいくつかのテーブル席、奥側にもテーブル席が並んでいました。内装や店内の造りはトーアコーヒーと工務店と一緒に話し合って決めたそうなのですが、元の構想ではU字のカウンター席だったそうです。そのようなお話を聞けるのは興味深いです。

店内壁に備え付けられていた大きな世界のコーヒーマップ。


下の写真は「珈夢居」と名前の入ったカウンター内の食器棚。綺麗に並んだカップ&ソーサーが美しいです。


ブラジル、グァテマラ、ブルーマウンテンなどコーヒーの銘柄とサイフォンコーヒーがデザインされた棚の扉。

こちらの棚の扉は取り外してお引き取りしてきましたので、どこかの喫茶店でまた使われる日がくればうれしいです。
(現在販売準備中です)

「珈夢居」(カムイ)という店名は、マスターがトーアコーヒーの担当者さんと一緒に考えた造語なのだそう。お店を開業する頃、当時は当て字の店名にするのが流行しており、珈夢居は「珈琲」の「珈」、「夢」、「居酒屋や居場所」の「居」を一字ずつ組み合わせ、また英語の「come in」や「come here」など「come」と掛けているところもあるのだそうです。なるほど、面白い!と聞き入ってしまいました。
昔、アルバイトを募集したところ、なぜか北海道出身の学生から多く応募があったそうなのですが、旭川市に「神居」(カムイ)という地名があり、北海道に縁のあるお店だと思われたためだったそうで、そのような逸話も面白いですね。

珈夢居さんはご夫婦で営業されていましたが、結婚される前はママさんも高田馬場で喫茶店を営業されていたそうです。
繁忙期は息子さんたちもお店のお手伝いをしてくれたと思い出話をしてくださり、まさに夫婦二人三脚、ご家族皆さんで協力しながら営業を続けてこられたのだと思います。


マスターがまだ会社員だった頃、出張で関西に行った際に人に連れられ入ったある喫茶店がひどく気に入り、関西に転勤になったあとも足繁く通ったそうです。何度も足をはこぶ中で、お店のご主人に「いつか仕事をやめて喫茶店をやりたい」というような話をしたこともあったそう。
実際に仕事をやめ、修行を経て、無事に店を開業したのちもその喫茶店のことはずっと気に掛かっていたそうで、そのご主人に連絡して開業の報告と御礼をしたかったのですが、当時はインターネットもなく調べることができなかったようです。
残念ながら現在は閉店してしまっているようで、ご主人に報告できなかったのが悔やまれるとお話してくださいました。このエピソードからは、長きにわたり珈琲と喫茶店に情熱を燃やしてこられた、情深いマスターのお人柄を感じました。

私が珈夢居さんを訪れたのは10年近く前のことで、営業当時の写真がないのが残念なのですが、上に記したようなことから少しでも「珈夢居」という喫茶店のことをお伝えできたらうれしく思います。

珈夢居さんからはテーブル、椅子、食器、そのほか什器や装飾品などをお引き取りいたしました。

以下、ネットショップで販売する椅子です。

座面は数年前に張り替えたそうで綺麗な状態です。スプリングが入っており、座り心地もよいです。

下の写真の赤いモケット地のカウンターチェアは数量が少なく、ものにより状態も異なるため店頭のみでの販売となります。


コーヒー豆の入ったガラステーブルも店頭のみの販売とさせていただきます。


ガラス板の下には世界地図がプリントされた紙が挟まれており、それぞれサイズ、デザイン、状態が異なります。
とくに状態に関してはものにより大きく異なるため現物をご確認のうえお求めいただきたく、店頭のみでの販売となりますが、下記注意事項をお読みいただいた上で購入をご検討くださいませ。

・在庫は複数ございます。上のガラステーブルの写真は一例で、比較的ダメージの多い2点を掲載しております。
・できる限り常時店頭に並べるようにいたしますが、タイミングによっては店頭に在庫がない場合もございます。メンテナンスが終わり次第、随時在庫を追加いたします。
・ガラステーブルという商品の性質上、通常の運送会社での発送を承ることができません。
ご自身でお持ち帰りいただくか、一部地域(※)のお届け先の場合は当店でお届けも承ります。
※東京23区、および23区に隣接する市区に限ります。送料は別途3000円頂戴いたします。
※当店の営業時間外でのお届けになりますので、基本平日の夜(当店営業終了後)、もしくは都合が合えば定休日(月・火)となります。限定的なお届け日時になりますことご了承ください。

店内で新聞や雑誌などを入れて使われていたマガジンラックも販売いたします。

インパクトのあるデザインで、お店や室内のアクセントになりそうです。


「本日のサービスコーヒー」看板です。壁にかけられる仕様になっています。


珈夢居さんのショーウィンドウからいつも見ることができた、「世界の珈琲を愉しみましょう」と書かれたアクリルパネルです。


そのほか今後追加するものもあるかと思います。
食器はカップ&ソーサー、グラス、シュガーポットなどを中心に店舗とネットショップで平行して販売いたします。

追記:ネットショップで販売したもの、椅子、テーブルは完売となっております。

ご質問等ございましたらお気軽にご連絡くださいませ。
tokyo.muratashokai@gmail.com

ご注文を心よりお待ちしております。