2021/11/10 19:32

ある言葉に、その言葉の音に合わせて漢字を充てる充て字(当て字)の店名の喫茶店は当時流行したようなのですが、
新御茶ノ水にあった『茶居夢(チャイム)』さんもその一つでした。


昭和60年にオープンした茶居夢さんは、5月28日をもって36年の歴史に幕を閉じられました。
事務所などが入るビルの一階で、ご夫婦で営業されてきましたが、茶居夢として営業する前もここは喫茶店だったそうです。
ビルが建てられた昭和55年より営業していた「セーブル」という名前の喫茶店で、茶居夢のマスターはアルバイトとして働いていたそう。
前オーナーが辞めるタイミングでそのままお店を引き継ぎ、屋号を『茶居夢』としたようです。

この辺りは学生街ということもあり、昔は近くにもっと多くの喫茶店があったそうです。
茶居夢さんがあるのは細い通り沿いですが、その通りにも3軒ほどあったとか。
このように街の歴史を聞けるのは興味深いです。

数年前に一度だけお店を訪れることができたのですが、その際に撮影した写真を許可をいただき掲載いたします。
その際はツナとタマゴのミックスサンドサンドウィッチとバナナジュースをいただきました。


ミックスサンドウィッチは5種類の中から2種類を選ぶことができるのがうれしかった記憶があります。
ポテトサラダが添えられていて、とても美味しかったです。

茶居夢さんでは朝7時からモーニング営業をされており、電車で通勤していたにもかかわらず朝5時に店に到着し仕込みをしていたそうです。長い間、毎日欠かさず朝早くからお店を開けるのは大変なご苦労があったことかと思います。

店内はドアを開けてすぐの手前側と、段差をまたいで奥にカウンターがあるような分かれた造りで、全部で30席ほどと広めの店内でした。
手前側の空間の両側の壁の上部には、前オーナーが揃えたというイタリア製の陶器やオブジェなどが飾ってあり、すっきりとした明るい空間の中に洒落たセンスを感じる雰囲気でした。
以前はピンク電話があったという電話ボックスがある造りも昭和の喫茶店ならではです。



茶居夢さんが昔製作されたというマッチ。

チャイムのようなベルのイラストはママさんが描いたものだそう。
天井からいくつも下がるランプシェードはベルに見立てて選んだようでとても思い出深く愛着があると聞きました。

お引き取りの際にサイフォンにて入れていただいたコーヒー。


コーヒーをいただく間もいろいろとお店の歴史についてお話を伺ったのですが、マスターとママさんのお話が面白く夢中になって聞いてしまいました。
「ずっと二人でやってきたからどちらかが欠けても店はできない」というママさんの言葉がとても印象的で、長い間このようにご夫婦二人三脚で営業されてきたのだなと感じました。

茶居夢さんは事情により閉店されましたが、最後の一週間は特にたくさんのお客様が来店されたそうで、お花などもたくさんいただきとてもうれしかったとお話しされていました。

当店では茶居夢さんで使われていた食器や調度品などをお引き取りいたしました。
西荻窪の店舗とネットショップにて販売しています。



茶居夢さんの跡地は今後どうなるか決まっておらず、そのまま喫茶店として使っていただける方がいればうれしいとご夫妻は話されていました。
食器、調度品はお引き取りしてきましたが、家具や照明、内装はそのまま残しております。
この場所でそのまま喫茶店を開業したい、引き継ぎたいという方がいらっしゃいましたら、村田商會までメールにてご連絡くださいませ。
引き継げるサポートをさせていただきます。

※6月19時点で、何人かの方にご連絡いただいてご相談させていただいております。
 ご連絡いただいた順番でのご対応とさせていただいておりますので、具体的なご相談ができるまでお時間がかかる場合がございます。何卒ご了承くださいませ。

※7月7日 追記
上記をご覧いただいてご連絡いただいた方よりご連絡があり、茶居夢さんの跡地を引き継いで喫茶店を営業される、とのことでした。
引き継ぎたい方の募集はいったん締め切りとさせていただきます。
詳細は追ってお知らせしたいと思います。

※11月10日 追記
茶居夢さんの跡地にジャズ喫茶「Donato(ドナート)」がオープンすることになりました。

オープン日は11月11日です。
茶居夢さんの跡地でまたコーヒーが飲めるというのはとてもうれしいことです。
茶居夢のママさんがこだわって選んだという天井のベル型のランプシェードも変わらず、テーブルや椅子もそのまま引き継がれています。
Donatoさんの開業準備中、茶居夢のご夫妻がサイフォンの淹れ方を教えたりと何かと交流があったようで、そのようなことも私どもとしてもとてもうれしく思っております。
ジャズにあまり馴染みがない方にもぜひお越しいただきたいとのことですので、みなさまもぜひ足を運んでみてください。
お店に関する情報はTwitter(@donato_kissa)、インスタグラム(https://www.instagram.com/donato_kissa/)をご参照ください。

tokyo.muratashokai@gmail.com